TANI Q
谷 穹
2014年
そこはたしかな境界線だった
その先には長い長い 長い道があり
私はその一端に立った
西の果てにつながる乾いた道
南方を廻り東の彼岸を経由する円環の湿った道
やきものにはそれぞれの道程がアップロードされる
中世日本の技術に出会った時
そこに美意識が存在した事を確信した
やきものに偶然はない
室町期の信楽が幽玄を体現させるための技術とするならば
私は今の言葉を見つける必要がある
それはきっとその瞬間の音のようなものだ
壺が気配を蓄え
ぼやけて捉えられない様な感覚をもつためには
そのための技術が必要となる
例えば
意識の方向性
保有する空間や与えられる動作
時間を越える事
心地のよい違和感
向いている方角
内側と外側の境目
演者の素質
それらが転回し見えなかった事に気がつきだすと
演目のように時間が流れる
壺から空間がはじまるとき
壺はダンサーにもなれる
そして壺は常に人の内側に在る
これらは今ここに在り今ここにない
谷 穹 Tani Q
1977年 滋賀県生まれ
2000年 成安造形大学立体造形クラス卒業
2007年 双胴式穴窯 築窯
2012年 単室式穴窯 築窯
主な企画展
2022年 「炎」/髙島屋日本橋店/髙島屋大阪店(東京・大阪)
「ACTIVATE KOGEI+ART 」/松屋銀座本店(東京)
2021年 「第15回パラミタ陶芸大賞展」/パラミタミュージアム(三重)
「No Man’s Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」
/兵庫陶芸美術館(兵庫)
2020年 「健在する日本の陶芸 ─不如意の先へ─」/益子陶芸美術館(栃木)
「リエゾン」/桑野聖子×谷穹/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2019年 「Air」/NOTA_SHOP(滋賀)
2018年 「守破離」/堀尾貞治×越野潤×谷穹
/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2017年 「泥仲間」/中ハシ克シゲ×谷穹/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2016年 「ロロ一ロロ」/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2015年 「LAND e SCAPE」/ギャラリーパルク(京都)
「これからの、未来の途中ー美術・工芸・デザインの新鋭11人展」
/京都工芸繊維大学美術工芸資料館(京都)
「ロロ一ロロ」/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都)
パブリックコレクション
ポートランド美術館(U.S.A)
兵庫陶芸美術館(兵庫)
